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ロストバゲージの対応方法と対策

07/31/2022

各国で入国制限が緩和され、海外旅行に行く友人も増えてきました。その中で、ロストバゲージをしたケースを数件聞いたので、対応方法を紹介します。最近多くなっているのは、コロナ禍の減便により、多くの空港スタッフが解雇され、旅行需要の回復に再雇用が追い付かず、グランドスタッフの不足、航空管制の遅延、荷物が捌ききれないなどが起因しているようです。

ロストバゲージとディレイドバゲージの違いは?

正確には、空港で預けた荷物が、紛失することを「ロストバゲージ」と言い、本来の予定より荷物の到着が遅れることを「ディレイドバゲージ」と言います。空港のスタッフさんや、旅行会社では、総称して、”ロストバゲージ”と使うことが多いので、この記事でも、総称して、ロストバゲージで説明していきます。

ロストバゲージの原因と起きる確率

ロストバゲージの原因としては、飛行機への積み忘れや、乗り継ぎ時の積み間違い、タグの付け間違い、他の乗客が間違えて持って帰った等があります。最近は、コロナ渦を発端に、人手不足となり荷物の処理が追い付かないことでロストバゲージが起きています。

完全になくなることは稀で、97%は1〜2日で発見されています。アメリカ運輸省が2020年2月に発表した「Air Travel Consumer Report」によると、2019年のアメリカの航空会社において取り扱いミスが発生した荷物の数は、1,000個中平均5.85個なので、10,000個に1.76個がなくなる計算になります。

ちなみに、私自身はロストバゲージの経験がないのですが、70回強の添乗をして、お客様でロストバゲージしたのは1個。その日のうちに発見されて翌日にはホテルに届きました。1回の添乗で、お客様の人数は平均20名くらいだったので、ざっくり1,000個中1個という計算になります。今年に入り、3人の友人からロストバゲージしたことを聞いたので、確実に確率は上がっていますね。

ロストバゲージの対応方法

ロストバゲージ疑惑~空港での手続き

バゲージクレーム(荷物引取り所)で待っても、自分の荷物が一向に出て来ない場合、ロストバゲージの可能性があります。なお、日本は荷物がすぐに出てきますが、海外では、荷物が出てくるのに1時間近くかかることもあります。他の人の荷物が出てきているのに、自分の荷物が出てこなかったら、バゲージクレームのエリアにあるロストバゲージ対応カウンター( アメリカだと「Lost & Found」と書いてあります)へ行き、荷物が出てこないことを伝えます。バゲージクレームエリアの外に出てしまうと手続きができないので、必ずカウンターにて手続きしてください。

手続きに必要なもの

・航空券
・クレームタグ
※荷物を預け入れる際に、荷物と引き換えに受け取るタグです。
※航空券の後ろに貼られている場合があります。

利用した航空会社のスタッフが荷物の所在を探してくれます。
私も経験があるのですが、ベルトコンベアーからいつの間にか降ろされていて、なぜか別の場所に置かれていたり、違うベルトコンベアーで流れていたこともあります。

最近は、航空会社によってアプリやWEBで荷物を追跡できるようになっています。カタール航空だと”Track my Bag”、アメリカン航空では”Track your bags” デルタ航空では、”Track your baggage”と表現は微妙に違いますが、荷物がどこにあるか、自分で調べることができます。

ロストバゲージ確定〜書類に記入する

スタッフの人が荷物の現在位置を確認して、到着した空港に届けられていない、届けられているのに所在がわからなければ、ロストバゲージ確定です。P.I.R(Property Irregularity Report:手荷物紛失証明書)という書面を作成します。

書面には、紛失した預け荷物の大きさやブランド、形状、色などをできるだけ詳しく英語で記入します。荷物の写真があれば、スタッフの方に見せてください。記入を手助けしてくれます。また、この後の旅行日程(滞在先など)に関しても記載をします。紛失証明書は必ず控えをもらってください。「参照番号」から追跡できる場合もありますし、海外旅行保険など加入している場合、保険金の請求時にも必要になります。

荷物が遅れているパターンであれば、この段階で荷物の現在地、例えば乗継地で保管されているとか、もうすでに次の便に乗っているなどが判明します。その場合は、いつ頃に届くのか、ホテルまで送ってもらえるか等、スタッフの方と相談しましょう。航空会社によっては、空港まで取りに行かなければならないこともあります。英語が堪能であれば良いのですが、片言の英語だと電話での問合せは難易度が上がるので、顔を合わせて話ができるときに、伝えることを伝え、聞くべきことは聞いておくことが重要です。

オンラインで手荷物の紛失を申告

最近は、利用した航空会社・到着した空港によって、カウンターに行かずとも、オンラインで申請することができます。全ての便ではないので、必ず航空会社のアプリ、WEBサイトを確認してください。オンラインでの申告の際も、クレームタグの「手荷物受領証番号」が必要となります。

申告をすると、書類番号の案内があるので、キャプチャーをとるか控えるようにしてください。手荷物の追跡状況をオンラインで確認する際に、この番号が必要となります。

トラベルキットをもらう

航空会社にもよりますが、歯ブラシなどの簡易的な洗面用具が用意されている場合があります。必要であれば、念のため、「May I have a travel kit?」(トラベルキットをいただけますか?)と聞いてみてください。そうでない場合も、航空会社の規定に沿う範囲の金額で費用の請求ができますので、その内容や手続きの方法を確認します。

海外旅行保険に加入している場合は、ロストバゲージによる損失がカバーされることがあります。「航空機寄託手荷物遅延等費用保証特約」がこれにあたり、航空機の到着後6時間以内に予定していた目的地に荷物が運搬されなかった場合に、衣類、洗面用具などの生活必需品、購入した衣類などを持ち運ぶかばん等を購入またはレンタルした費用が、上限10万円まで補償されます。

保険は、各会社によって支払い条件が細かく決まっていますので、ロストバゲージにあったら、保険会社にも連絡をします。航空会社か保険会社どちらに請求することになるのかは、このあとの発見タイミングにもよるので、購入した最低限の生活必需品の領収書は残しておきます。

荷物を受け取る

荷物が見つかればホテルまで配送してくれるケースが多いですが、航空会社によっては、空港まで取りに行かなければならない場合もあります。滞在中に見つからない場合、帰国後に日本まで送ってもらう必要があります。海外の宅配事情は、日本とは異なり約束どおり来ないことも多いので、要注意です。日本の宅配会社さんの優秀さを目の当たりにします。

なお、航空会社からの連絡が2日以上、全くない場合は、何度もしつこく問合せをしましょう。航空会社のWEBサイトからメール、SNSアカウントにDMを送る、電話など、あらゆる手段で連絡します。ちなみに、電話は繋がりにくく、繋がってもぞんざいに対応されることも多いようです。友人は「こっちも忙しいんだ」と謎に逆ギレされたそうです。

ロストバゲージ(完全紛失)は、航空会社に補償金を請求する

1~2ヶ月経過しても、荷物が出てこない場合は、完全紛失確定と思ってください。航空会社に補償金を請求することになります。通常はロストバゲージの申請をしてから1〜2カ月経過する頃に、航空会社から紛失の通知が届きます。連絡がこない場合は、問合せて請求してください。

紛失の場合の補償額や内容は、航空会社によって違います。荷物の内容は自己申告制なので、こちらから申請した内容物と金額に対して決められた割合で限度額までの金額が支払われます。新品のお土産や物が入っていた場合、レシートがあれば額面通りの金額が補償されることもありますので、お土産を買ったレシートなどは、とっておきましょう。海外旅行保険には、航空会社が補償しきれなかった部分を補償してくれるものもあります。こちらもプランによって、補える範囲が変わってきますので、保険会社に確認してください。

どんなに高級なスーツケースであっても、中に高級なものが入っていたとしても、上限額は決まってます。上限額はワルソー条約やモントリオール条約などがあり、航空会社がどちらの条約に加入しているのかで変わってきます。ワルソー条約では、1kgあたりおよそ2,000円が限度(仮に30kgの荷物を預けていたとして、6万円が限度となります。 (2020年現在)モントリオール条約では、荷物1つにき17万円前後(変動する)となり、ワルソー条約より条件は良い条約になっています。 (2020年現在)

上記のように上限額は決められてはいますが、ある程度は航空会社によって差があるので、各航空会社のルールによって決められます。しっかり申請したところで、だいたいですが1荷物当たり10万円程度の補償額になるのが一般的です。

ロストバゲージの確率を下げる方法

100%防げるわけではないですが、ロストバゲージの確率を下げる方法を紹介します。

過去のタグやシールなどをはがしておく

今回の旅行には関係のないタグやシールは全て剝がします。残ったままだと、荷物を積み込む際の間違いに繋がる可能性があります。

搭乗手続きを早めに済ませておく

時間ギリギリに搭乗手続きをすると、スタッフの方も時間に追われているためミスが起こりやすくなり、ロストバゲージの発生確率も高まってしまいます。搭乗手続きを早めに済ませておくことで、時間に余裕があるときに荷物を仕分けてもらえます。

出来る限り、直行便を利用する

乗り継ぎのタイミングで、ロストバゲージが最も起きる可能性が高くなります。可能であれば、直行便を利用するようにします。

乗り継ぎ時間に余裕を持たせる

直行便がなく乗り継ぎ便を使うケースも多々あるので、2時間以上の乗り継ぎ時間を設けるようにします。航空会社・乗り継ぎ地によって、MCT(ミニマムコネクティングタイム *最低乗継時間)が決まっています。1時間で乗り継げたとしても、荷物が間に合わない可能性があります。1時間の乗り継ぎで、自分たちの荷物が、飛行機にぎりぎりで積み込まれていくのを見たことがあります。飛行機の到着が10分遅れていたら、間に合わなかったです。今は、ロストバゲージの確率も上がっているので、大きい空港を利用する場合、3時間くらい設けたほうが無難です。

ネームタグをつける

100%防げるわけではないですが、スーツケースにネームタグを付けることをオススメします。他に似たようなスーツケースがあったとしても、間違って持っていかれる確率が下がります。

ロストバゲージに備えて

預け荷物には大切なものは入れない

●預け荷物には大切なものは入れない
スマートフォン、カメラ、充電器、高価なアクセサリー、また個人的に紛失して困るモノは、必ず携帯して機内持ち込みしましょう。
●預入荷物の写真(外・中)を必ず撮影しておく
●1~2泊分の着替えや洗面具は機内持ち込み用の荷物に入れておく
●海外旅行保険に加入する際に、ロストバゲージの保証があるものを選ぶ

最後に

ロストバゲージは、精神的なダメージが大きいです。自分は大丈夫!とは思わずに、できる限りの対策を行い、充電器や大事なものは必ず機内持ち込み荷物に入れましょう。

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